Flower Parts Name

今回は、カトレアの花のパーツの名称についてご紹介いたします。皆さまは、セパル、ペタル、リップという呼び名はよくご存じだとおもいます。おさらいですが、セパルは日本語で萼片、ペタルは花弁、真ん中の花弁であるリップは形状が独特です。カトレアは、蘭の多くがそうであるように、萼が3枚、花弁が3枚でそのうちの真ん中のものだけが独特の形を持ったリップとなっています。

ある特定のカトレアの花の素晴らしいところを表現する際には、各部分の名称を使うと便利です。ただ、今まであまり特定の部分の呼び方がはっきりしていないところもありましたので、敢えて皆さまに提案の意味も含めて記載します。これから今年もたくさんの蘭の展示会がありますが、展示されているカトレアを語り合う喜びを共有したいと思っております。

カトレア
カトレアの花の部分の呼び方

ドーサルセパル(Dorsal Sepal):一番上のセパルを意味します。

ラテラルセパル(ローワーセパル Lateral Sepal):下側にあるセパル2枚を意味します。

ペタル(Petal):左右の大きな花弁を意味します。

ミッドリブ(Mid Rib):ペタルの中心線にあるペタルを支える役目をする少し太めになった部分を意味します。このミッドリブの角度により、花の印象が変化します。

リップ(唇弁:Lip):これはペタルの中心から下方に広がった特殊な形をした花弁全体を意味します。

トランペットリップ:リップを真横から見たところをトランペットに見立て外側の筒状の部分があるリップをトランペットリップと呼びます。この写真の花の場合、筒の上の部分は基部からふくよかな丸みのある筒を形成していて、トランペットのカーブとは逆ですが、これも立派なトランペットリップです。このトランペットリップですが、ロングノーズとショートノーズという使い分けもカトレアマニアの方達は使用しています。その例を以下の写真に示します(写真の左側の花の方が違いが鮮明かと思います)。

カトレア
ロングノーズトランペット
カトレア
ショートノーズトランペット

オープンリップ:トランペットリップと対比するリップの形状で、リップの基部の上が開いて筒を作らないものを言います。

カトレア
オープンリップ

バチ弁(Spade Lip):次の写真に示すように、リップの形が三味線のバチの様な形状から名付けられました。海外では、スペードリップと呼ばれています。

カトレア
バチ弁

 

目(Eyes):リップに現れた一般的にリップの基本色より明るい部分を意味します。多くの場合、黄色がかっているので、黄目(Yellow Eyes)とも呼ばれていますが、白色に近い目もあります。また、目が大きくなり左右が合体したリップも数多くあり、その場合色の変っている部分を喉(throat)と呼びます。

サイドローブ(Side Lobe);トランペットリップの筒状の部分の横の部分を意味します。この部分を表現する日本語が今まで無かったので、American Cattleyasの著者である高名な植物学者のDr.Courtney Hackneyさんから米国のカトレアマニアの間で使われている名称として教えていただきました。日本でもこのサイドローブという呼び名が定着し、そこの部分を注視して観察すると思わぬ発見ができます。

黄脈(Vein):リップの中心部分から静脈の様に広がるラインを黄脈と呼びます。勿論この色も必ずしも濃い黄色だけでなく白色に近いものもありますが、黄脈と呼んでいます。C.dowianaの多くは、個体毎に独特な素晴らしい黄脈を持っておりますが、最近の交配種では黄脈が大きく(長く)入るものが少なくなり寂しく思っています。下の写真は、昔の黄花の銘品ですが、黄脈が素晴らしいと思いませんか(中には黄脈をお嫌いな方もいらっしゃいますので、これはあくまでも個人的な感想です)。

大きな黄脈

LipFringe(リップの周辺部分):リップの周囲の部分でいろいろな変化があります。リップの周辺が細かいフリル状になっているものもあれば、あまり切れ込みが多くないリップもあります。また、周辺が覆輪になっているリップもあります。

カトレア
細かい切れ込み
カトレア
切れ込みが多くないリップ
カトレア
覆輪となるリップとソリッドリップ

これらの写真は、ほんの一例です。皆さまもこれから行かれる展示会で花の各パーツをじっくりご覧になると新たな発見があるかもしれません。ご意見、ご感想をお待ちしております。Mailbox@cattleyart.com

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *